5日目はロングビーチへ。
地下鉄のブルーラインを使って南へ。カリフォルニア州立大学へ向かいました。地図で検討をつけて、駅を出て、CSULという表示を見て、バスに乗り、終点で降りました。広大な敷地だなぁと思いながら赤いトレーナーを服を着た若者たちについていくと、彼らが入っていったのは高校。どうやら間違えている! そしてここがどこかわからない。タクシーは全然通っていない。
またもパニックでした。高校近くで学生と話している男性に声をかけて、地図も見てもらったのですが、大学は遙か遠くだと。バスが出ているところを教えてもらい、なんとかバスに乗りました。どこで停まればいいのかわからないまま、気づいたら大学構内に違いない場所に。判断が遅れたら、もっと変なところに行っていました。
一時間前には着くぐらい余裕を持って出かけたので事なきを得ました。9:00の授業の10分前には教室の前に。そこに目鼻立ちのはっきりした人当たり良いアジア人がいました。話しかけられ、日本人同士だということがわかりました。構内を歩いていても日本人が話しながら歩いていましたし、こんな遠方の僻地に来ても日本人がたくさんいるんだなぁと思うとともに、積極的に海外に出ているんだなぁと感心しました。
今回授業を見せてもらったのは、ウルリッヒ・マイヤー・ホーシュさんの知り合いでもあるヒュー・オゴーマンさん。ウリさんとは同い年です。マイケル・チェーホフの講師でもありますが、授業ではスタニスラフスキーや合気道も取り入れているとのこと。
生徒は25名くらいでしたかね、アジア系や黒人も混じっていました。日本人は、森田麻琴さん一人。これが奇跡的な出会いでした。
最初のウォームアップは、アクティブに。少しずつ身体を動かし、歩きに変わり、イメージを感じたり、Fast Walk-Freezeというデヴィッド・ジンダーのワークになったり、センターを感じたり、Radiating,Flowingなどのマイケル・チェーホフのワークになったり、途中特徴的な合気道の仕草が入ったりしていました。
彼らは身体の使い方と、イメージの作り方とそこから反応する柔軟さはまだまだですが、良い訓練を若いときからできているなぁと思いました、
そのあとは全てシーンスタディ。作品の抜粋ではなく、「ニュートラルシーン」といって、簡単な構造だけを伝え、パートナー同士で工夫して演じるようです。必要な小道具などは全て彼らが用意していました。
最初は一夜を共にしたあと、朝離れたくないけれど、離れなければならないというシーンで、男性は姉妹と関係を持っているという設定でした。それから、レズビアンだけど、どちらかが癌であるという設定というのも見ました。じっくりと関係性を感じ、相互に影響し合ってシーンをつくるというやり方です。ですから、理性的にならないようにといっていましたし、「演技はマジックではない、そこにはなにかがある」と、衝動の原因を質問したりしていました。
良い講師は、フィードバックが長い。というのが一つ結論です。洞察力があるので、非常に長く時間をかけます。これがポールやチェルカッスキーらにも共通する点です。
そして、運の良いことに最後はMakotoさんの発表でした。バスの停留所。昔の恋人で、どちらもまだ思いが捨てられていない、けれど過去は過去で今は違う人生、という設定でした。彼女は非常に良い演技をしていました。お世辞抜きで大した逸材だと思います。感情のスイッチが他の人より入りやすく、観客を引き込む演技をします。これで英語もぺらぺらなので、日本でも海外でも活躍できると思います。
しかし、学生のシーンスタディで、自発的にキスしあったり、なんかすごいなと思いました。リスクを取る姿勢が普通にあるし、演技とはそういうものだと思っていますね。日本は生ぬるいなぁと感じましたよ。
さて、心底翌日の通訳の件で悩んでいたぼくですが、Makotoに明日のPM2:00から通訳できないかと訊ねたら、なんと大丈夫だと! 午前中の授業が終わったあとに向かえば間に合うし、明日の午後は授業がない、と。奇跡的な巡り合わせで、天使のように見えました。通訳をやってくれる約束を取り付けました。
クラスのあと、HughとMakotoとぼくとでタイ料理に食べに行きました。Hughは本当に温かくぼくを授業見学に迎え入れてくれたし、親しく話してくれ、帰りもダウンタウンのほうまで車で送ろうとも提案してくれました。
ところどころ難しいところはMakotoに通訳してもらいながら、良い時を過ごせました。
そのあとは、Makotoを学校まで車で送り、ぼくをロングビーチまで乗せていってくれました。その車中で、HB Studioの見学にもいくという話をしたら、Carol Rosenfeldというベテランの教師のことを紹介してくれました。そして、Carolとはニューヨークで会うことになります。もう、引き寄せがすごい!
ロングビーチを束の間、楽しんだ後、ホテルに帰り、翌日の絶対に失敗できないワークショップの予習をしました。