6日目はPM2:00~5:00の単独ワークショップ。5日間のアメリカ演技指導ツアーの大トリになります。何人来るかもわからない状態。この日は日本人とのミックスクラスになります。
もちろんクラスの前にはなにも予定を入れず、しっかり集中できるように、と思ったのですが、この日はロサンジェルスでは珍しく大雨。地図でしっかり確認し、スタジオのある通りのスタバ(の隣の店)で2時間前には待機し、授業の再確認をしました。ちなみに、スタバを選ぶのはWi-Fiが使えるからです。
MakotoがPM1:00頃にはスタジオに着けるというので、ぼくも移動を開始。スタバは近くにないですか?と聞かれたので、今すぐそこにいるので買って持っていくとジャバチップフラペチーノを購入。雨の中、バスを待つのですが、20分経っても来ない。焦りがどんどん大きくなります。完全に彼女のほうが先についてしまう。
ようやく来たと思って、乗り込んだら、すぐに停留所で電源が落ち、ドアすら開かなくなりました。おいおいおい! しばらくの立ち往生のあと、バスの外に出て、このバスはダメだと後続のバスに乗りました。しかし、基本的にまっすぐに進むだけのはずのバスが突然曲がったので、これは間違ったと思ってすかさず降りました。もうそこは、どこだかわからない場所です。本当に助けてくれと思いました。このままだと、PM2:00のクラスにすら間に合わない恐れが。スマホのWi-Fiは使えない。
しかし、タクシーがほとんど通らないLAで、たまたま目の前に白いタクシーが現れ、乗り込みました。ぼくは乗るバスを間違えていました。逆方向に乗っていたのです。なんで、こんな確認をちゃんとしていなかったのか、本当に自分でも不思議ですが、天使と悪魔が後ろで闘っているような感じでした。
タクシーの中で、自分の白いズボンが茶色で汚れている事に気がつきました。ジャバチップフラペチーノでした。それがこぼれ、雨でしおしおになった紙袋からも漏れ出して、タクシーの後部座席に広がっていました。慌てて、タオルでなんとか拭き取り、タクシーがスタジオ近くに着き、ようやく到着。Makotoは傘を差さず待っていて(ロングビーチは降っていなかったと)、ちょうどポールが鍵をかけているところでした。PM1:30過ぎ。
これから、一世一代のワークショップをやるというときに、最悪な状態でした。
とにかく落ち着かないといけない。昨日今日で決まった通訳なので、打ち合わせもしなければいけなかったのですが、軽い打ち合わせしかできません。彼女がマイケル・チェーホフらをやっていて本当良かったですよ。身支度を調え、準備をしますが、とても受講者の一人ひとりと談笑する余裕はなかったです。
そして、この最終日が最も人が集まった日でした。プロの俳優に、演技学校らに通う日本人の人たちや、演技は経験ないけれどLA歴が長い方などバラエティーに富んだ面々です。雨なので、みんな遅れ遅れでしたが、結局1日目のぼくのワークショップを受けて、不満だった人たちも来てくれました。ポールがたぶんフォローしてくれていたんだと思います。
3時間のワークショップ。Makotoの通訳のおかげでテンポ良くいきました。英語の通訳を気にする必要なく日本語に集中して、教えることができたので、とてもスムーズでした。想定より人数が多く集まったので、一人ひとりの発表で結構時間を取ってしまい、終わりがてこずり、ポールのヘルプが入ってしまいましたが、総じて絶賛で終えることができました。
信頼を取り戻しました。これがShinji Betchakuの指導というものを知ってもらえました。アンケートの結果も非常に良かったです。内容を半分以上変えて、レベルを高めにしたのですが、日本人の人たちも負けじとがんばっていていました。彼らもすごく刺激を受けたのではないでしょうか?
最後終わったときに泣くかなとも思いましたけど、まだ完璧ではなかったですし、泣きはしなかったですね。頭の中では、ソチの浅田真央が浮かんでいたんですけど。
歴史的な偉業といってもいいでしょう。日本人がハリウッドで、アメリカのプロ俳優に教え、日本人たちにも教えたということは。彼らはぼくよりも年上が多く、相当のベテランでしたから、単に若い人を教えるというのとも違います。最終日には「ペイ・フォワード」らに出ている現役バリバリの女優さんもいました。あとでポールから「ムービースターに教えたんだよ」と聞きました。彼女はとても積極的に学んでいました。この学ぶ姿勢が素晴らしい。なのに、「いやぁ、映画知らないなぁ、日本とタイトルが違うのかも」とかいってしまいました。(「ペイ・フォーワードはPay It Forward」)
本当に通訳のMakotoに感謝。通訳があってこそ素晴らしいクラスができる。今回は、ポールからダメだしを食らうこともなく、褒めてくれました。大盛り上がりで、ロスの最後のワークショップを我々は終えることができました。アンケートも全員Very Satisfied(大変満足)でした。
夜は、タイ料理店で残った人たちと食事をしたあと、長さんと一緒に予約していた「Allegiance」というミュージカルの観劇へリトルトーキョーへ行きました。長さんにリフトを呼んでもらい乗ったドライバーが、なんと俳優で、IMDbのクレジットも結構ある人。しかも、マイケル・チェーホフを学んだことがあるというMel Hamptonさん。俳優をやりながらリフトのドライバーもやり、スキーのインストラクターもしているようです。不思議な出会いですね。しかも、観劇後Facebookの申請だしたときに、共通の友人にHugh O’GormanとMakotoが表示されましたからね。
ものすごいたくさんのドライバーが走っている中、そんな繋がりのある人は、この人しかいないはずです。その人がたまたまその時間、すぐ近くを走っていて、リフトに応答したということです。すごい引き寄せですよね。
ものすごく大変なことも毎日ありますが、ものすごい奇跡も毎日のようにありました。