11日目は、雪。事前に嵐の雪となるらしいということを聞いていましたが、遂に来ました。この日は重要なアポイントが3件もあるというのに。
朝はHB Studioへ訪問。ホテルからは歩いて40分程度。昨夜から雪は降っていましたが、まだ大丈夫な感じ。早めにHB Studioの場所を確認して、近くのお店で朝食をとりました。
そして9:00に合わせてHB Studioへ。この日はロングビーチで会ったヒュー・オゴーマンさんの紹介で会うCarol Rosenfeldさんの授業。たまたまこの午前中の時間が空いていたので幸運でした。
事務所に顔を出して授業見学のことを伝えると、なんと20ドル取られました。聴講料というのを取られるらしいです。マジかよ、聞いてないぞ、と思いながら教室に案内され、キャロルさんと初対面。温かく迎えてくれました。事務所の人も、招待されて来たことがわかると、すぐに20ドルを返してくれました。
実は、キャロルさんは早朝メールを送ってくれていたみたいで、雪のためにクラスが中止となるので別の日で会えないかというメールでした。そのメールを知らずにクラスに行くと、少人数ですが授業はあるようで、見学することができました。
3時間のシーンスタディ中心のクラス。どうやら上級者のクラスのようでした。
キャロルさんはHB Studioで30年以上教えている大ベテランの講師。ウタ・ハーゲンと直接関わっていた世代で、現在HB Studioをここまで引っ張ってきました。
内容は、チェーホフの「ワーニャ叔父さん」のシーンスタディからでしたが、テーブルや椅子、テーブルクロスのみならず、可動式の暖炉やドアまで、セットが用意され、役者も衣裳に着替え、出来る限り本番と近い環境を作っていることに驚きました。
カリフォルニア州立大学の見学でもそうでしたが、シーンスタディのために、出来る限りすべて揃えるというのはアメリカだけに関わらず、よくあるようですね。
授業中も、こういう準備時間の最中にキャロルさんは話しかけてくれ、ここでもVIP的に対応してくれて嬉しかったです。キャロルさんからはウタ・ハーゲンの本のプレゼントと、キャロルさんの本をサイン入りで頂きました。感謝です。
シーンスタディでのキャロルさんの洞察と指摘は素晴らしかったです。一流の講師はフィードバックが違うな、ここでも感じました。だけど、見ながらほとんど同じようなことを思っていたぼくも、改めてアメリカでも通用すると感じられました。
映像俳優と舞台俳優の違いもやっぱりありますね。ポールのワークショップで見た俳優とはまた少し違う感じ。見聞を広める意味でも大いに参考になりました。
終わった後は、記念撮影にも応じてくれました。
そのあとは、マイケル・チェーホフ・スタジオへ。伝説的な講師Lenard Petitのクラスですが、直前の最終連絡が取れていなかったことに一抹の不安を覚えながら向かいました。HB Studioからは徒歩で10分程度です。
しかし、雪がふりしきるなか、扉は閉ざされ、誰も人がいないので、これは中止かなと思いました。時間になっても誰も来ないので、隣のシュタイナーのブックストアに入って、訊ねると、雪のために中止だと教えてくれました。
レナード・プチに電話をかけてくれ、少し話ができました。「本当にすみません」と。忘れていたようです。いやぁ、残念でした。雪が悪いですね。また、どこかで会えればいいのですが、結構楽しみにしていたので残念です。
PM6:00に再びHB Studioで黒人の先生とアポイントがあるのですが、時間がたっぷり余ったので、しばらくスタバで時間を潰したあと、地下鉄で一旦北上し、MOMAニューヨーク近代美術館へ行きました。雪は更に強くなり、靴の中がみぞれでぐじゅぐじゅ。辛いです。
MOMAは知っている名画もいくつかあり、25ドル払いましたが、いい観光になったと思います。この美術館は写真撮影もOKでした。
そのあとは、あまりに寒く、ズボンもコートもビショビショになっていました。雪はドンドン強くなり、タイムズスクウェアもこんな光景。
PM6:00からのPaul Pryceとのアポイントですが、直前で連絡が途絶えていて、現れないだろうなという予感から、HB Studioは目指さず、ホテルに戻ることに。一応、メールは送りましたが、連絡は返ってきていません。ポール・プライスとは縁がなかったのでしょうね。
そして風呂に入り、しばらく休んだあと、着替え、PM8:00の舞台「Farinelli and the King」を観に行きました。雪が結構積もっていて、徒歩で15分くらいかかりました。劇場に着いたときには、また靴の中がグショグショ。革靴と折りたたみ傘の弱さを痛感です。
舞台はイギリス人俳優が主演で、イギリスやイタリアの話だったので、比較的観やすかったです。途中、客いじりとかあるのは、アメリカ風。客席はまばらでした。安い席で観ていましたが、休憩の後移動して、2階の最前列から観ました。
王とファリネーリという歌手の交流の話なのですが、歌のシーンはファリネーリ役の役者が歌うのではなく、ファリネーリに扮したオペラ歌手が出てきて歌うという変な演出でした。
そんなにレベルの高い舞台ではありませんでしたが、終わったらスタンディングオーベーションになりました。本当にこの習慣はやめてほしい。イギリスでは本当に優れた舞台にだけスタンディングオーベーションをする習慣があります。
劇場からの帰りは、ガタガタブルブル震えだして、「やばい、このままだと風邪引く」と思い、急いで帰りました。途中のピザ屋で、ポールたちを見かけましたが、早く帰りたくてそのまま通り過ぎました。セブンイレブンでハンバーガーとコーヒーを買って、ホテルに帰宅。もう一度風呂に入って、温かくして寝ました。
そして、翌日12日目は帰国へ。長く濃密で、人生の転機となるぐらい大きなアメリカツアーでした。