特集インタビュー 2019年3月

長真由さんが学んだロサンゼルスの演技学校LAPACとは

私が学んだアクティングスクールは、ロサンゼルス・パフォーミング・アーツ・コンサーヴァトリー(Los Angeles Perorming Arts Conservatory)は通称LAPAC(ラパック)と呼ばれていて、私はここで9ヶ月のプログラムから参加しました。その間に、アメリカンの演技メソッドを全て学びましたし、声やスピーチのレッスンも受けました。そのあとに1年間アクターとして仕事ができるOPTを得ました。

先生たちは本当に個性豊かな人たちですし、とてもインターナショナルなスクールなので、日本人以外にも現地のアメリカ人やフランス人、イタリア人、スウェーデン人など世界中から集まった生徒たちと一緒に楽しく学ぶことができました。

LAPACではマイズナーのクラスが大変だった

LAPACで一番大変なのは、マイズナーのレッスンでした。
※サンフォード・マイズナーはアメリカのメソッドアクティングに数えられる一人。
自分の本当の感情をどんどん相手にぶつけていくというトレーニングなんですが、日本人として感情を出し続けるということが結構大変だったので、もう3~4ヶ月間は全然できなくて苦労しました。ただ、だんだんと感覚もつかめてきて、最終的にはマイズナー・トレーニングを使った舞台発表があったのですが、やっと「マイズナーってこういうことなのかな」というのがわかるようになりましたね。

なぜアメリカに来たのか?

ハリウッド映画がすごく好きで観ていたというのもあるんですけどね。元々、アメリカに来たいという思いがそんなに強かったわけではありませんでした。でも、日本にいたときに、実際にロサンゼルスで活躍する俳優さんとお会いする機会があり、そうした方々の影響をすごく受けたというのもありますね。

ずっと演技が好きで続けてきたので、最高峰のハリウッドで自分の力を試したい、チャレンジしたいという気持ちが出てきました。より難しい環境の中で、自分をどれだけ成長させることができるか、アクターとしてもどれだけ向上できるかということを考えました。そして、思い切ってロサンゼルスにやってきました。

長真由 LAPAC
LAPAC Los Angeles Performing Arts Conservatory
LAPACのポスターに、なんと長さんの写真が!
サンタモニカにて取材
サンタモニカの遊歩道にて
サンタモニカ ロサンゼルス
アメリカ 演技 演劇 映画
取材中、リスがこっちを見てました

現在アメリカ3年目 女優としての過ごし方は?

最初8ヶ月はニューヨークにいました。そのあとにロサンゼルスに来て、2年が経過しました。
手応えですか? 割と計画通りに順調に来ているとは思います。

ハリウッドで一番驚いたのは、オーディションの多さですね。あちこちで撮影が行われていますし、エキストラと呼ばれるバックグラウンドの仕事だけでもごまんとあって、毎日毎日すごい情報が送られてきますね。

流れとしては、オーディションに対して、プロフィールとヘッドショット(宣材写真)をサブミット(提出)していきます。それをキャスティングディレクターに見てもらってオーディションを受けます。それから実際に仕事が決まったら、オンセットといって、前日にコールシートが来るんですね。それで現場がどこで、どういった人たちと一緒に仕事をするのかということがわかります。こうした作業をとにかく繰り返しやっていくことになります。

毎日毎日ありとあらゆるオーディションがあるということが本当にすごいなと思います。そして大きな役であっても、等しく誰にでもチャンスがあるということもすごいですね。ただ、それだけアクターになりたい、アクターとして仕事がしたいという人の数も尋常じゃなくいるので。本当にその中での競争に勝って仕事をつかんでいくことは難しいことだと感じています。

成長をやめてはいけない

ただ綺麗なだけでは通用しないですし、自分を魅力的に見せていくことや、成長はとても大切だと思います。これまで培ったアクティングスキルを総動員して、いかに役として生きるか、リアルに演じられるかが大切ですね。そして英語でやらないといけないので、ものすごく鍛えられますね。

日本人であることの苦労する点としては、やはり英語のアクセントになまりがあるということもありますし、オーディションの数は多くても、アジア人の役など限られた枠のなかで狙うということになります。当然他のアジア系の国の人たちと競うということになりますね。

アメリカに来て、アクターを目指して良かったと感じるのは「役を生きられる」こと

台詞をもらったときに、これまで学んで来たテクニックを活かして、役作りをしていくのですが、よくいわれたことが「あなたのPoint of View(視点)を入れなさい」ということです。それは私自身が感じたことや意見や感情を、台詞にのせていきなさいということです。その作業がすごく面白くて、自分の人生を振り返ってみて、「私だったらこう感じるな」「私だったらこういう思い出があるな」ということを入れるんです。

結局、私自身がどう生きてきたかが演技に活かされて、役がつくられていくわけです。役を演じるというよりも、役を生きるということ、これこそが演技であり、私がやりたかったことだと感じています。ですから、毎日感動を感じています。

今後の夢・目標について

まだスタートしたばかりなので、明確なものはないんですけど、とにかく自分の進歩と成長が大事で、これまでやってきたことを集大成としてつぎこむことです。

作品としては、ファンタジーや古典的な作品、ピリオド・ドラマといわれていますが、そうした時代物に出演したいです。欧米の古い時代の物語にアジア人が出演するというのは意外なことだと思うかもしれませんが、ハリウッドもダイバーシティ化が進んでいて、肌の色や人種に関係なく起用するようになっているので、アジア人としてその中に入っていきたいなという夢があります。

高級なとこで
miramar
サンタモニカ ミラマール
Fairmont Miramar Hotel & Bungalows

2019年5月ロサンゼルスで舞台「12人の怒れる男」に出演!

おめでたいことに、長真由さんが、アメリカ人たちに混じって唯一日本人として「12人の怒れる男たち」の女性バージョンの舞台に出演が決定しました。
卒業生がアメリカの舞台に出演
長真由
LAPAC
Japanese Newcomer – Mayu Cho – as JUROR #11, commonly known as “the immigrant”, pleads for fairness, as she expresses the reason she came to America was for our judicial system. 長真由 陪審員11号……「移民」としてよく知られており、正しさを嘆願し、陪審員制度のためになぜアメリカに来たのかを伝える。
JUROR #11 in the film: Played by Veteran Czech Broadway & Character Actor: George Voskovec
ロサンゼルスタイムズ