はじめに
Paul Parker WS を5日間受けて大きく感じたことは、海外の演技メソッドと日本人俳優の意識の差です。
身体と心についての日本人の関心の薄さを感じました。
1日目にポールは日本人のことを-polite-と表現し、そのあとで「しかし、この場では大きく一歩を踏み出さなければいけない」と強く訴えました。
その言葉は、英語がわからない私でも強く心に残りました。そして、今回のWSで一番伝えたいことはこれなのではないかと直感しました。
それからの5日間、身体で、頭で、心で出来る限りのものを吸収しようと集中することができました。すぐにメソッドに移る前に、なぜこのWSを受けに来たかを再確認する時間を与えてくださって感謝します。
学んだこと、感じたこと、反省点など書き出すと終わりが見えなさそうなので、短めにまとめます(なんせ計21時間なもので)
身体について
驚いたのが呼吸です。私自身、胸式呼吸と腹式呼吸の違いは認識していましたが、口から空気を吸うことで自然にお腹が膨らんでいる(腹式呼吸)ことに大変驚きました。
そして、口から自然に息を吸うために、頰と顎の力を緩めることでより達成されるのです。このWS後、気付いた時に頰と顎の力を緩めるエクササイズをするようになりました。
心(感情)について
1日目に、「帰ってきて」や「あっちいけ」などの言葉を自分のイメージと繋げながら言うエクササイズをしました。
この時、目をつぶってイメージをしていましたが、残念ながらそのイメージは揺れて消えたり無くなったり、その状態のまま言葉を言ってしまったり、非常に不安定でした。
イメージから感情が出すことができなかったのです。
しかし、3日目にもう一度同じことをしました。今度は同受講者に向かって、同じ言葉を言いました。
するとなぜか、感情が膨らみ、自分でイメージした時よりも、強いものが生まれた気がしました。どれが良いとか悪いとか、何が正解かなんてわからないけど、自分自身の何かに対して納得したのを覚えています。
「動かないこと」について
4日目はカメラアクティングを受けました。ここでは実際の映画の台本を使いました。
ポールに教えていただいたのは、カメラに合わせた動き方です。それはカメラが捕らえやすく、追いやすいよう体の動きを停止させたり、滑らかにしたりすることです。
そう言った助言をされたことは初めてで、実践して後で映像を観ると、その違いは明らかでした。
5日目は舞台演技を見ていただきました。その中で使った台本の中で、私は傲慢で力がある男を演じました。普段の僕からはとても役が離れていると感じていました。
そこでポールはある提案をしました。「とにかく動かず相手の動きだけを阻止するように」そのまんまの意味でそれ以上でもそれ以下でもないと思い、素直に実践しました。不思議なことが起きました。演じてるうちに、この動かない男(自分自身)に動けないなりの弱さと情けなさがこみ上げました。とても暗い気持ちになったのを覚えています。
結局長くなったように思いますが、感想はまとめられなさそうです。でもこの5日間の経験はこれからのヒントになり続けていくのだと思います。